門をくぐって、玄関に至ります。門の外から見える窓には、上下に通る親竪子の間に,上端が切りつめてある細くて短い子を3本入れた「倉敷格子」をつけました。
瓦屋根、焼杉の壁の黒とさまざまな感覚の縦格子の入った建具とが、この家の繊細な表情を作っています。玄関前には、大きく張り出した土庇をつけました。
玄関は家の顔です。杉網代の扉とスギの天板の下駄箱をはじめ、さまざまな木を使い、見せどころがいっぱいです。
玄関から居間への二段の段差をあがる時のために、手すりをつけました。大工仲間が六角形にはつってくれた材を、社寺建築の現場を飛び回っている親方からいただいた和釘で留めました。建て主さんには、手触りがよくて、つかまりやすいと気に入っていただきました。
大工が厚板の表面を手斧ではつった上がり框。見た目だけでなく、靴を脱いだ足の裏のあたり具合も気持ちがいいのです。
濡れ縁に面した居間。梁が力強く並びます。窓の下の空間には、液晶テレビが置かれます。
居間からキッチンを見たところ。キッチンと居間は、流し台と居間側を向いた棚とで構成されるカウンターで仕切られています。
左:細いタイルを貼った洗面所。収納棚の扉を全面鏡にして、奥行を出しました。 右:トイレは広々と。終の住処として長く住めるよう、車椅子でもゆったりと使えるようにしています。
左手前が寝室。左奥から浴室、脱衣場、洗面所、トイレ。身の回りのことが最小限の動線でできるように並んでいます。敷居は床と段差なく、バリアフリーにしています。
障子の引き手に煤竹を使っています。細かなところを丁寧に作り込むことで、その家の味わいが出るのです。
斜面の上から見たこの家の全景。生活空間がコンパクトにおさまった、使いやすい家です。